専門家として段組を使うときに、各場面で何を書けばよいかをまとめました。場面ごとに独立しているので、必要なところだけ読んでください。例は一つの架空の案件(建材商社の問い合わせメール整理)で通しています。

0. プロフィール(最初に一度)

企業が閲覧申請を承認するかどうかは、ほぼプロフィールで決まります。実績は段組の上で積むと自動で足されるので、最初は「得意分野」に力を入れてください。

得意分野

「何ができるか」より「どんな困りごとに強いか」を書くと、企業が自分の案件に当てはめやすくなります。ツール名の羅列より、仕事の場面で書く。

例:毎日届くメール・フォーム・PDFを、人が読まずに分類・転記できる形にすること。Google Workspaceとスプレッドシート中心の小さな会社で、既存の道具を壊さずにAIを足すのが得意です。

実績・経歴

段組の外での仕事は箇条書きで。数字(件数、削減時間、期間)があると一つで十分伝わります。守秘がある場合は業種と規模だけで構いません。

例:卸売業(従業員40名)の受注FAXをAIで読み取り、基幹システムへの入力を月40時間削減(2025年)

プロフィール写真

正方形に近い構図、顔が分かるもの。企業の承認画面と専門家一覧に出ます。

1. 閲覧申請(企業の棚の案件に手を挙げる)

要約を読んで「自分が入れる」と思った案件に申請します。企業は申請者のプロフィールと、ここに書くメッセージだけを見て承認を決めます。

企業へのメッセージ

長さは3〜5行。要約のどこに反応したか、似た仕事の経験、一段目で何を返すつもりかを書きます。売り込みの定型文は読み飛ばされます。

例:問い合わせメールの三分類と管理表への転記、という部分に反応しました。似た構成(受信箱→分類→スプレッドシート)を卸売業で2件組んでいます。承認いただけたら、一段目では「件名が不定形でも分類できる方式」を候補ごとの長短つきで一枚にまとめてお返しします。

2. 一段目の成果(無償)

承認されると詳細が開示され、一段目の成果を提出します。無償ですが、ここで出した案の権利はあなたに残ります(企業が払わずに使うことは規約で禁じています)。

成果の要約

この段で分かったこと、提案の骨子、二段目で作るものの範囲。細かい手順は書かなくてよく、書かない方が権利の線が引きやすくなります。

例:分類は「件名」ではなく本文の冒頭2行で判定するのが現実的。方式は(A)ルール+AI併用、(B)AIのみ、の二案。Aは精度が安定し、Bは保守が楽。二段目ではAで過去メール100件を使った試作を作り、精度を数字で示します。

撤回確認書の初版(任意)

返却されたときに企業が確認する文です。書かなくても規約で守られますが、書いておくと返却時の手続きが一往復で済みます。

例:本提出物に含まれる分類方式の案・構成・手順は専門家に帰属し、企業はこれを自ら、または第三者を通じて実装しないことを確認します。

3. 提案(コンペ・入札の段)

企業が「コンペ」「入札」を選んだ段では、複数の専門家が提案を出し、企業が一人を選びます。

提案の要点

何をどう作るか、進め方、期間。採用されなかった提案の権利はあなたに残るので、ここでも核心の手順は伏せて構いません。

例:既存のGoogle Workspaceに、Apps Scriptで受信時トリガーを追加。本文冒頭をClaude APIで三分類し、見積依頼のみ管理表に行を追加。営業電話は自動でラベル付けして受信箱から外す。2週間で試作、1週間で並走確認。

金額・期間・備考

金額はその段の成果物に対する税抜額。期間は着手から提出まで。備考には前提条件(企業側に用意してほしいもの)を書くと後で揉めません。

例:金額 180,000円/期間 3週間/備考:過去メールのサンプル100件と、管理表の編集権限をいただく前提です。

4. 次の段を提案する

段が終わったら、あなたから次の段を提案できます。企業が「次も頼みたい」と思っているうちに置くのが効きます。

段の名前・成果物・価格

段の名前は動詞で終わる短い言葉。成果物は「受け取ったときに完了と判断できるもの」。価格は固定額か、前段の結果を見て決める「見積確定」か。

例:段の名前「本番の設定と手順書」/成果物「実際の受信箱で動く設定と、営業向けの1ページ手順書」/固定額 150,000円

提案の要点:試作で精度92%が出たので、本番設定に進めます。営業が迷わないよう、手順書は「困ったときの3項目」だけにします。

5. 成果の提出(有償の段)

段の成果を提出すると、企業が「承認」か「返却」を選びます。承認時に企業は三択(期待以上/期待どおり/足りないが受け取る)を必ず選び、その件数があなたの実績に並びます。

成果の要約

何を作ったか、成果物の受け取り方、確認してほしい点。詳細は共有リンクで。

例:本番の受信時トリガーを設定し、9月10日から稼働しています。手順書は共有ドライブの「営業向け」フォルダに。確認いただきたいのは、営業電話の判定が厳しすぎないか(2件、取引先の電話を営業電話と判定していました。ホワイトリストで対処済み)。

6. 自分の段組を置く(専門家の棚)

案件を待つだけでなく、自分の構想をあらかじめ段に刻んで専門家の棚に置けます。企業は「この段組で始める」を押すだけで、一段目(無償)からあなたと始められます。案件登録フォームを使い、書き方は案件の入力ガイドと同じです。

コツは、一段目を軽く、二段目以降を細かくすること。段が細かいほど企業は始めやすく、あなたは止めやすい。

例:タイトル「問い合わせメールの自動仕分けを、2週間で試す段組」/一段目「現状ヒアリングと方式の提案」(無償)/二段目「100件で試作」80,000円/三段目「本番設定」150,000円/四段目「月次の調整」見積確定

7. 既存の顧客を持ち込む

いまは企業側から持ち込む形です。顧客に案件登録フォームの「すでに一緒に進めている専門家がいる」であなたの専門家コード(公開プロフィールのURL末尾)を入れてもらうと、非公開で始まり、一段目があなたへの指名になります。専門家側から招く入口は準備中です。

対価の受け取り:企業が成果を承認したら、あなたが請求書を発行します。支払いは基本契約第6条の定め(請求書受領月の翌月末までに振込)です。段組は支払いを仲介せず、手数料も取りません。請求書の宛名は、企業の開示情報にある社名です。

分野ごとの得意分野の例文

  • AIエージェント開発:「問い合わせ対応や見積の下書きを作るAIエージェントを、読むだけの段階から業務に入れています。一段目は権限を三段階に分けるところから。各段で止め方と行動記録を納めます」
  • AIコンサル:「問い合わせメールの分類、見積の下書き、点検記録の整理のように、毎日回る業務の一段目をAIで組んでいます」
  • AI動画作成:「店舗や商品の紹介動画を生成AIで作っています。30秒の試作は3日、本編60秒は修正2回込みで10日。使うサービスと権利の扱いは一段目で書面にします」
  • AI音楽作成:「店舗や動画のための音楽を生成AIで作っています。30秒のデモは2日、本編2分は修正2回込みで一週間。用途と権利の扱いは一段目で書面にします」
  • インフルエンサー:「首都圏の飲食店を、Instagram(1.2万)とYouTube(3千)で紹介しています。来店投稿は撮影から公開まで一週間、反応数は公開後30日で報告します」
  • メディア出演・素材提供:「建材と中小企業経営について、取材への出演・コメント・監修を受けています。一段目で答えられる論点と答えない論点をお伝えし、媒体・期間・二次利用・クレジットを段に書いてから受けます」
  • 店舗システム開発:「店舗向けの予約・順番待ち・POS連携を、既存の道具とつなぐ形で作っています。一段目は店の流れを見て、できる形を三つ出すところから」
  • 店舗の内装・設計:「飲食店と物販店の改装を、現地確認からラフ案、実施設計、立会いまで段で受けています。一段目は現地を見て、できることを三つ」
  • 研修・講師:「AIの業務活用研修を、体験回から全員向け、定着の伴走まで段で。資料の権利と録画の扱いは一段目で決めます」
  • 専門家(マンション管理士):「管理組合の理事会に外部の立場で入り、管理会社の見積や修繕計画を読み解きます。一段目は直近の総会資料を読んで、気になる点を三つ挙げるところから」
  • 専門家(社労士):「従業員20名以下の会社の就業規則と労務の相談を受けています。一段目は現状の規則を読んで直すべき点を三つ挙げるところから」

プロフィールの「分野」は複数選べます。AIエージェント開発・AIコンサルの方は「AI分野での役割」(エージェントエンジニア、オートメーション、プロンプト、コンテキスト、イネーブルメント、FDE、AX推進)も選ぶと、一覧に印が付きます。該当する分野にチェックを入れると、専門家一覧と棚の絞り込みに出ます。

無償の段の書き方(友人・知人案件)

  • 持ち込み(マイページの「いまの顧客を段組に招く」)で相手を招く。棚には出さない
  • 二段目以降の価格で「無償(友人・知人案件)」を選ぶ。公開案件では選べません
  • 成果物は一行で、終わりが分かる形に(例:「ロゴ案を二つ、PNGで」「就業規則の指摘メモ」)
  • 期限を書く。無料の仕事は期限が曖昧になりやすい
  • 三段目に「有償にするなら」の目安を先に置いておくと、切り替えのときに揉めない
  • 相手が個人(消費者)の場合は、相手に「個人として登録」してもらい、持ち込みで招く。有償の段を受けるなら、プロフィールの「個人向けの表示」を先に入れておく。18歳未満は対象外

成果物の渡し方

  • 文書・画像・50MBまで:段組に添付する。当事者と運営だけが開け、承認した時点の内容が固定される。揉めたときにいちばん効く記録
  • 動画・音楽・データ一式:Boxなどのリンクで渡す。共有は「特定の人」か「パスワード付き」(「リンクを知っている全員」は禁止)。ファイル名・サイズ・SHA-256のハッシュ値を提出時に書く。承認後1年間はリンクを消さない
  • ハッシュ値の出し方:Windows はコマンドプロンプトで certutil -hashfile ファイル名 SHA256、Mac はターミナルで shasum -a 256 ファイル名。64文字をそのまま貼る
  • Boxの共有設定:ファイル → 共有 → 「リンクを知っている全員」を「招待したユーザー」に変え、相手のメールを招待。有効期限は付けない
  • 差し替えるときは新しい提出として出す。承認済みのファイルを上書きしない

相見積の一段目に指名されたとき

  • 通知に「相見積・n人」と出ます。受けるか見送るかはマイページから。受けると、無償の一段目は自動で発注済みになります
  • 一段目の成果を提出し、企業が見比べて一人を選びます。選ばれなければ返却となり、案の権利はあなたに残ります(企業はその案を使えません)
  • 実績には「一段目を提出(相見積)」として残り、評価は付きません
  • 一段目が有償なら、選ばれなくても対価は支払われます

定期の段の使い方(保守・顧問・月次投稿)

  • 案件に段を足すとき(「次の段を提案する」)、固定額の段で「定期(毎月)」にチェックし、回数(2〜24)を入れる
  • 企業が承認するたびに、同じ内容・同じ価格の次の段が置かれ、あなたは受諾済みの状態になる。企業が発注すると翌月分が始まる
  • 毎月の承認で「積んだ段」「承認された成果」が一つずつ増え、書類パックも月ごとに出る
  • 止めたいときは、マイページの「定期の段」から。いまの段は残り、次回分は置かれない。相手にも通知が届く
  • 「伴走(6か月)」を一段で置くより、6回の定期の段の方が記録が細かく、途中で止めやすい

8. 補助金を使う企業との段の組み方

企業が補助金(東京都のDX推進助成金、国のデジタル化・AI導入補助金など)を使う場合、段の切り方で申請のしやすさが変わります。詳しくは補助金と段組。

  • 一段目は計画:構想書(仕組み・必要なもの・段の構成・費用・効果)を成果物にする。企業はこれで交付申請の計画を作れる
  • 二段目以降は交付決定後に着手:企業が「交付決定待ちにする」を押したら、決定が出るまで着手しない。交付決定前の契約・発注は補助対象外になる
  • 段の名前は経費区分に寄せる:「導入」「初期設定」「データ移行」「定着支援(月次)」「クラウド利用料(年額)」のように、実績報告の項目にそのまま使える言葉
  • 成果物は「導入完了を示せるもの」:動く画面・設定済みの環境・手順書・稼働報告など、検収で「入った」と分かる形
  • 事業期間内に終わる段数:制度の実施期間(多くは交付決定から数か月〜1年)に収まるように段を組む。長い伴走は期間外の別段に
  • IT導入支援事業者なら登録番号を書く:プロフィールの「IT導入支援事業者 登録番号」に記入すると、専門家一覧に印が付き、国の制度を使いたい企業から見つけてもらえる

例:二段目「業務システムの導入と初期設定」/成果物「設定済みのシステムと管理者向け手順書」/固定額 250,000円 三段目「定着支援(3か月)」/成果物「月次の利用状況報告と設定の調整」/固定額 90,000円

書く前に一つだけ

段組では、払われていない段の案の権利は専門家に残ります。だから安心して核心を書けますが、逆に言えば、企業は「払う価値があるか」をあなたの言葉だけで判断します。手順を全部書く必要はなく、「この人は分かっている」と伝わる一行があれば十分です。