AIコンサルの方へ:「全部でいくら」と言われて、私が引き返した話
私は、中小企業庁の専門家派遣制度にIT専門家として登録していた時期があり、受ける側の事情も少しは知っています。いまは建材商社を継いで、自分の会社にAIを入れる、頼む側の人間でもあります。その両方の立場で、AIコンサルの方に一つだけ書いておきたいことがあります。
数年前、問い合わせメールの仕分けをAIでできないかと、ある方に相談しました。親切な方で、話をよく聞いてくれました。それで「ではお願いします」と言ったところ、提示された見積が、構想から実装までを一つにまとめた額でした。会社の規模からすると、簡単には出せない金額でした。
「まず仕分けの精度だけ見たいので、その部分だけお願いできませんか」と聞きました。返事は「そこだけを安く切り売りはできない」でした。その方の言い分は分かります。小さく受けて、残りを別の人に持っていかれたら、割に合わない。私の言い分も分かってほしかった。精度が出るか分からないものに、全額は出せない。
結局、話はそこで止まりました。どちらも悪くなかったと、今でも思っています。ただ、「小さく買う」「小さく売る」ための形が、二人の間に無かった。
段組を作ったとき、この経験が頭にありました。一段目は無償で、現場を見るところまで。二段目は「仕分けの試作」のように小さく切って、値段が付く。企業は段ごとに進むか止めるかを選び、専門家は払われていない段の案の権利を持つ。企業が止めた後、その案を自分で実装したり、別の人に渡したりはできないことを、文書で確認する。
あのときの方がこれを見たら、「そこだけ」を安心して受けてくれたかもしれません。私は、精度を見てから次を決められた。
AIコンサルの方にとって、段組は「小さく受けても、取られない」ための道具です。私のような発注者にとっては、「小さく買って、確かめてから進む」ための道具です。棚に段組を置いていただければ、発注者はそれを見て、どこから頼めばいいかを自分で選べます。
段の組み方の例は「AIコンサルの方へ」にまとめました。


